Salisbury(ソールズベリー)は新旧2つの大聖堂を見ることができます。
1つはSalisbury Cathedral(ソールズベリー大聖堂)、もう1つがOld Sarum(オールド・サーラム)です。
Salisbury Cathedralは優雅な姿を今も見せていますが、Old Sarumの大聖堂は既に石の土台のみが残るのみです。
これらの時代が全く違う大聖堂を1日に回って見ましょう。
コンスタブルの絵とソールズベリー大聖堂
私がSalisburyを訪れたのは、John Constable(ジョン・コンスタブル)という画家がその大聖堂を描き、その絵と同じ風景を見たいと思ったからです。
彼は多くの絵にSalisubury Cathedral(ソールズベリー大聖堂)を描いていますが、私が一番好きな絵はSalisbury Cathedral from the Bishop’s Groundsです。
この絵はLondonのVictoria And Albert Museum(ビクトリア・アンド・アルバート美術館)で見ることができます。
Salisbury Cathedral from the Bishop’s Grounds © Victoria and Albert Museum
Constableが描いた風景は多くイギリスに残っているそうで、きっと彼が見た景色と同じ景色を見られるのではないかと期待していました。
結果を言うと同じ風景を見つけられなかったです。方向はわかっているのですが、ここだと思う場所が勝手に入っても良いのかなという場所だったので諦めました。
ソールズベリー大聖堂
Salisbury Cathedralは町のほぼ中心にあります。駅からは徒歩約10分です。地図がなくても簡単に行けるくらい町のどこからでも大聖堂を見つけられます。
外観は背の高い塔がすらっと伸びていて貴婦人のような雰囲気があります。
この塔はイギリスで一番高く123.13mあります。ギネスブックにも記録されていて、Tower Tourに参加すれば、認定書を見ることができます。
タワーツアー
Tower Tourというこの塔に登るツアーがあるので、参加しました。£13.50で2時間弱のツアーです。
332段の階段を上って、地上から68mの高さまで行くことができます。
階段を上るのはしんどいですが、途中に幾つか見所があるので疲れ知らずで登ることができたと思います。
最初の見所は、nave(身廊)、chiors(聖歌隊席)、chancel(内陣)、Trinity Chapel(トリニティ・チャペル)を一度に見渡すことができることです。
身廊にそそり立つ柱の上の小さいアーチの内側が廊下になっていて、そこから見渡せます。
今まで様々な大聖堂の塔を登るツアーに参加しましたが、この角度で大聖堂を見渡せるのはSalisbury Cathedralだけです。
天井裏も歩きました。
大聖堂は石造りだと思っていたので、内部に多くの木が使用されているのに驚きました。古代に造られたものだそうですが、梁も太くて頑丈そうでした。
下には石造りの天井があり、カーブを描いています。「落ちると戻ってこられないから気を付けてね」と言われました。
次に見られるのは鐘です。
大きな鐘の上に小さな鐘が4つ見えます。各鐘を鳴らす棒がピアノ線でつながっていて、時間が来れば自動的に鳴らす仕組みのようです。
どんな音なのか結局聞けずじまいでした。
三角屋根の根本まで登ると、頭上に三角屋根を支える木組みを見ることができます。
表の華麗さとは違って、梁を四方八方に渡られて塔を支えています。石を積み上げると重くなるので、木組みで重量を減らしたのかもしれません。
塔の木組みを見たのはSalisubury Cathedralだけなので、他の大聖堂はどうなっているのか気になります。
Tower Tourのご褒美はSalisburyの街並みです。レンガを使った建物が多いようで、赤色でまとまっていてメルヘンチックです。
この町に3泊宿泊しましたが、こじんまりとして過ごしやすい町でした。
大聖堂内部
Tower Tourを終えると、身廊に戻って見学します。
Salisbury Cathedralには動いている時計の中では世界で一番古い時計があります。文字盤はなく、1時間ごとにベルを鳴らして時間を知らせるそうです。正直どのような仕掛けなのか時計を見てもよくわかりませんでした。
昔は物置に忘れられていたそうですが、無事に復活して良かったです。
大聖堂の東端にあるTrinity Chapelは、この建物の中で一番最初に完成しました。
Prisoners of conscience window(囚人の窓)という青色のステンドグラスがきれいです。罪を犯したわけではなく、自らの信念の為に投獄された囚人たちに捧げらたものだそうです。
左側に灯っているろうそくの周りには、有刺鉄線が渦を巻いています。このろうそくはAmnesty International(アムネスティ・インターナショナル)という団体のシンボルで、彼らはステンドグラスに描かれているような囚人の解放運動を行っています。
聖歌隊席の真上にある天井には、キリストや十二使徒が描かれています。大きな円の人物はキリストとわかりますが、他の円は誰なのかよくわかりませんでした。13世紀のデザインを元に造られたのだそうです。
大聖堂を出てCloister(クロイスター)に行きます。大聖堂の横にある四角形の庭とそれを囲む通路です。石造りの大聖堂の隣に緑が茂る庭があり、一気に視界が明るくなるので開放感があります。
庭に入れるようなのですが、なぜだかどの大聖堂でも入ったことがありません。お花の模様と言っていいのかわかりませんが、装飾がかわいらしいです。
マグナカルタ
Cloisterの隣にはChapter House(チャプター・ハウス)があります。ここにはMagna Carta(マグナ・カルタ、大憲章)が保管されています。
現在イングランドに現存しているオリジナルは4通で、Salisbury Cathedralに収められているMagna Cartaが最も保管状態が良いそうです。
ここに来る人のほとんどが、Magna Carta目当てで来ているのかというくらい人が多かったです。
© Salisbury Cathedral
Chapter Houseの中は小さな博物館のようになっていますが、見上げると天井も中心の柱から8個の角に向かって花弁が開いているようで、華やかなステンドグラスと共に内部を飾っています。
Magna Cartaだけでなくぜひ見ていただきたいデザインです。
オールド・サーラム
Salisbury Cathedralを後にして、次はOld Sarum(オールド・サーラム)に行きます。
Old SarumまでSalisburyの町からSalisbury Redsという会社のX5番もしくは8番のバスが出ており、10分くらいで到着します。
Old Sarumは昔のお城の跡で、Salisbury Cathedralが現在の場所に移動するまでOld Sarumが栄えていたようです。
円形の土塁が築かれ、その中央に城、濠の向こうに大聖堂が建っていて、要塞の中には多くの民家がありました。
当時の様子を再現した模型がSalisbury Cathedralに展示されています。Old Sarumに行く前にぜひ見てください。
今は芝生が広がる丘に廃墟が残るのみとなっています。お城のあった場所が一段高く盛り土がされています。しっかりとした石造りで分厚い壁が残っていました。
Old Sarumの中で一番私の心をつかんだのは大聖堂の跡地です。大聖堂の基礎となる部分が丸見えです。
十字架の形をしているのを客観的に見ることができて感動しました。お城の跡を巡るのも楽しかったですが、私はこれを見られて大満足です。
Old Sarumは上から見ると、その様子がわかりやすいです。濠が二重になっていてその中央にお城があり、近くに大聖堂があります。
入場口は円を突っ切る白い道で、お城に入れるのはその道だけです。
自分では空からの写真を撮ることができないのでEnglish Heritageのサイトから引用しています。
© English Heritage
入場料 | £5.40 |
開館時間 | 10:00~18:00 |
Old SarumはEnglish Heritage(イングリッシュ・ヘリテージ)が管理しているので、会員は無料で入場できます。
私は閉まる30分くらいに訪れたので、大聖堂の跡には近づけませんでした。1時間くらいは時間を取っておく方が良いと思います。
私が退場するのと同時にEnglish Heritageスタッフのお兄さんも入場ゲートを閉めました。
帰りもバスの予定だったのですが、お兄さんが優しい人で、車でSalisburyまで送ってくださいました。
(私は友人と一緒だった事、お兄さんがスタッフだったと言う事、Salisburyまでの道を知っていた事でお言葉に甘えましたが、私一人で知らない人の車には絶対に乗りません。)
ソールズベリーにある新旧2つの大聖堂
SalisburyとOld Sarumは新旧の同じ町となります。1日で両方の大聖堂を見るというのは珍しい経験だったと思います。
Old Sarumの大聖堂はどのような建築物だったのか、Salisbury Cathedralを見ながら想像するのも良いですね。
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